いちファンとして語る、丸山茂樹プロの偉業と魅力

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私がゴルフを始めた頃にプロ入りした丸山茂樹という存在は、個人的にかなり思い入れが強い選手の一人です。
一言で言ってしまえば彼のファンということですが。

今回は、そんないちファンとして丸山茂樹というプロゴルファーとしての偉業と、人としての魅力を語ってみたいと思います。

丸山茂樹プロの素晴らしき功績

アマチュア時代から強いと評判で、鳴り物入りでデビューした彼の素晴らしき功績を簡単に列挙してみましょう。

  • 日本ツアーは賞金王こそ無いものの、短い期間で9勝を挙げ、その後PGAツアーに挑戦した。
  • Qスクールに参加することなく、推薦等のスポット参戦で賞金を稼ぎ、シードを勝ち取るという参戦の仕方をした数少ない日本選手の一人。
  • 2000年から正式にPGAメンバーとして参戦し、1年目は優勝こそないものの賞金ランキング37位に入る。
  • 2001年、当時アメリカ期待の新人だったチャールズ・ハウエルをプレーオフで下し、日本人として2人目のPGAツアー優勝者となる。
  • さらにその後、2002年、2003年も優勝し、なんと3年連続勝ち星を挙げるという快挙を成し遂げた。
  • シードを守ることが困難なPGAツアーにおいて、9年間シードを守り抜く。
  • 全米オープンに出るための予選で当時世界記録となる58のスコアを叩きだして通過した。
  • 全英オープンの最終日のバックナインに入った時点で単独トップに立った。 ※1
  • 2002年には井沢利光プロとコンビを組み、日本としては45年ぶりとなるゴルフワールドカップ優勝を成し遂げる。
  • 2013年のアメリカ対世界選抜(プレジデンツカップ)の副キャプテンを務めるという大役を果たす。
  • ※1 その後1打差5位で終戦。これはメジャーにおける日本人選手のトップとの最少打数差の筈です。

ざっと羅列するだけでもこれだけあります。
これらも踏まえ、彼にまつわるエピソードをご紹介していきます。

丸山茂樹を象徴するキーワード:『スマイルアサシン』と『M266V』

まずは彼を象徴するキーワードについて、少しお話しましょう。

丸山プロは英語こそ操るまでには至りませんでしたが、そのキャラクターでPGAツアーに上手く溶け込んでいました。
当時、いつもニコニコしながら小柄な日本選手が次々と勝ち星を挙げる様を見て、『スマイルアサシン(=笑顔の暗殺者)』というニックネームをつけられた事は有名な話です。

また、当時も今もPGAで毎年勝利するというのは非常に困難な事ですが、2001~2003年に毎年勝利したのは彼以外にはタイガー・ウッズとジャスティン・レナードだけだったと記憶しています。

ちなみに当時の3勝の優勝スコアが全て266だったのは意外と知られていない事実でしょうか。
この優勝スコアにちなんで、ブリジストンから発売されたツアーステージのアイアンに『M266V』というスチールシャフトが採用された事もありました。

PGAツアーで9年間シードを守った彼が敬意を払う人は…?

前述の通り、PGAツアーでは一部の超一流プレイヤーを除き、シードを守る事すら困難なツアーです。
丸山プロはそこで9年間シードを守りました。
彼は「先に挑戦を続けてくれた尾崎直道プロがいてこその僕の実績です」と、非常に謙虚な事をおっしゃっていた記憶があります。

これは皆さんが想像する以上に凄い事なんです。
実際Qスクールを突破してPGAに参戦した日本選手は多くいますが、ほとんどの選手が1~2年でシード落ち、撤退を余儀なくされています。

丸山プロの話とは少しそれますが、尾崎直道プロは日米両ツアーを行き来して、挑戦を続けました。
PGAでは優勝こそないものの93年から8年間PGAツアーのシードを守り、その間の1999年には日本の賞金王にもなるという、とんでもない事快挙を成し遂げています。

丸山プロが尾崎直道プロに敬意を払うのも当然です。
彼はPGAツアー1本に専念しましたが、尾崎プロは行ったり来たりでこれだけの実績を残したのですから。

気になるお金のハナシ

プロなのでお金の話も少々。

丸山プロは9年間のPGAツアー生活で実に1380万ドルも稼ぎ出しました。
タイガー・ウッズの出現でPGAの賞金がどんどん上がっていく時期だった事も幸いし、撤退する時のキャリア通算の賞金ランキングは52位だったと記憶しています。

現在は更に賞金が上がり、かつ年月が経っていますのでキャリア通算ランキングは104位です。
なお、キャリア通算1位は当然のごとくタイガー・ウッズです。彼は賞金だけで1億ドル以上を稼いでいます。

ちなみにPGAツアーではシード権を5年以上保持すると60歳以降年金がもらえるそうです。
丸山プロ曰く『年金おばさん』と呼ばれる方がいらっしゃるらしく、彼女に聞くと60歳以降総額いくら貰えるか教えてくれるそうです。
その総額をPGAが支払い切る前に本人が亡くなっても家族に引き継がれるそうです。

日本では考えられないほど厚遇といえるPGAツアーの年金制度には驚かされます。

近年の丸山プロと、次世代の丸山プロ

丸山プロは日本に帰って来て2009年に日本シリーズという試合に勝ちましたが、その後はケガなどもあり、現在は選手としては実質引退に近い状況になっています。

しかしPGAツアーで培ってきたノウハウを後輩達に惜しみなく伝えたいという意思を感じますし、日本のゴルフ・プロゴルフ界を盛り上げるためになんでも協力したいという考えを示しています。

PGAツアーの良い所を日本でも見習ってどんどん取り入れるべきとの考えを持っていて、聞いてくれればいつでもウェルカムと公言していますが、JGTOなどからはなかなか打診が無いようです。これは非常に残念な事ですね。

最近の松山英樹プロのPGAツアーにおける活躍は目を見張るものがあり、このペースで行けば彼が丸山プロの成績を塗り替えていくであろう事は想像に難くありません。

それでも私の中で、丸山プロの功績と活躍の記憶が色あせることはないでしょう。
丸山プロの存在は、それほど影響力がありました。

この記事を読んでくださったみなさんへ、少しでも丸山プロの偉業と魅力が伝われば、いちファンとしてこれほど嬉しいことはありません。

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